独自ドメインは自社ホームページや会社のメールアドレスを使うために、レンタルサーバーと同様に必ず必要なものです。
自社ホームページ、メールアドレス管理担当者は、ドメイン移管やサーバー移行を検討する機会があるかと思います。ドメイン移管やサーバー移行はそれぞれ異なる概念であり、理解しておくことが必要です。
筆者は20年以上ウェブ制作管理会社で中小企業のウェブサイト管理を行なっており、ドメインやレンタルサーバー移行を数多く手伝ってきました。
その経験を元に本記事では、ドメイン移管とは?ドメイン移管手順と注意点について解説します。
ドメイン移管とは?移管のメリットとサーバー移行との違い
ドメイン移管とは、ドメイン管理を他の管理会社(ドメインレジストラ)に移すことです。
サーバー移行とは、ウェブサイトがホストされているサーバー(サイトデータやメールが格納されている場所)を移行することです。
サーバー移行はホームページの閲覧やメールの送受信に影響がありますが、ドメイン移管をしてもサイトやメールに影響はありません。
※但し、ドメイン管理会社でDNSサーバーをレンタルしていたり、DNSレコードを編集している場合は影響がでる場合があります。
例:お名前.comでDNSレコード設定を利用しているなど
独自ドメインとレンタルサーバーと同じ会社で管理しなくても運用可能です。
例えば、独自ドメインをお名前.comで取得して、ホームページ・メールはエックスサーバーを使う、なども問題ありません。
関連記事お名前.comのドメインにエックスサーバーのネームーサーバーを設定する手順
ドメイン移管をするメリット
ドメインの管理会社を移すのがドメイン移管ですが、ドメイン移管には以下の様なメリットがあります。
- ドメイン維持料金が安くなる
- 複数ドメインを一元管理できる
- レンタルサーバーとドメインは同じ会社で管理を簡素化できる
- ドメイン永久無料特典のあるレンタルサーバーを使うことができる
最近はサーバー契約でドメインが永久無料というサービスを行うレンタルサーバーも増えてきました。
ドメイン移管の手順
ドメインを移管する基本的な流れは以下のようになります。
- 移管元レジストリで認証コード(AuthCode)を取得する
- 移管先でドメイン移管申請をする(取得した認証コードAuthCodeを入力)
- ドメイン登録者にドメイントランスファー申請メールが届く
- トランスファー申請の承認メールにあるURLへアクセスしドメイン移管を承認する
JPドメインとgTLDドメイン(.comや.netなど)では手続きが若干異なる場合があります。
.co.jpドメインを移管する手順を具体的に説明しています。
関連記事お名前.comからエックスサーバー/ムームードメインへドメイン移管の流れ
ドメイン料金が最安。エックスサーバーへ他社からドメイン移管をする手順も参考になります。
ドメイン移管の注意点と移管できないよくある原因
ドメイン移管を申請したのに却下されてしまった。。。という事例も結構あります。ドメイン移管はちょっとした原因で失敗してしまいます。
また移管申請には数日時間を要する場合があるので、移管前にドメインの状況を確認ておく必要があります。
ドメイン移管が失敗する理由をまとめてみました。以下の内容に当てはまるかどうか確認してみてください。
ドメイン移管が失敗する原因は、
・属性型JPドメイン(.co.jp
, .ne.jp
, .ad.jp
など)
・汎用JPドメイン(.jp
)
・JP以外のドメイン(.com,
.net
, .org
など)
ドメインの種類によって条件が異なる場合があります。
【理由1】ドメイン有効期限が間近
全ドメインで共通しますがドメインの更新期限が迫っている場合はドメイン移管はできません。
以下はお名前.comから他社へドメイン移管する時に必要な有効期限です。
JPドメイン | 31日以上 |
JPドメイン以外 | 15日以上 |
上記はお名前.comの場合ですが、他社でも当てはまります。
スタードメインでは有効期限が7日以上残っていないと移管できません。(gTLDドメイン)
どのぐらいの日数が必要かは移管元の会社によって違いますが、有効期限まで1ヶ月以上の余裕があったほうが安心でしょう。
ドメイン期限が1ヶ月を切っている場合は注意が必要です。
【理由2】ドメイン移管ロック(レジストラロック)が設定されている
ドメイン移管が却下されてしまう理由で多いのがレジストラロックと言われるドメイン移管を禁止する設定がされていることです。
ドメイン管理会社によっては初期状態で移管がロックされていることもあるので、WHOISなどで登録状況を確認してみましょう。
下記は、ICANN Lookupで.comドメインを検索した結果です。
Domain Statusの「clientTransferProhibited」はレジストラロックされている状態です。
WHOIS検索 ドメインの調べ方・見方と出てこない時の対処法でも詳しく解説しています。
エックスサーバーの場合、ドメインの解約申請をしないとレジストラロックは解除できません。
【理由3】WHOIS情報を非公開(WHOIS公開代行サービスを利用)にしている
現在は個人情報保護が強化され、ドメイン登録するとWHOIS情報が自動的にドメイン会社情報になることが多いです。
しかしドメイン移管をする場合にはWHOIS情報公開代行サービスを無効にしないと移管できません。
関連記事WHOIS情報公開代行とは?無料で個人情報を非公開にする方法
【理由4】ドメインの自動更新設定が有効になっている
これも見落としがちですが、ドメインの自動更新が有効になっていると申請が却下されてしまい、移管できません。
新規取得したり、更新したりするタイミングで自動更新が自動的に有効になる場合もあります。自動更新設定がされていたら解除しましょう。
【理由5】承認メールが届かない、承認メールを承認しなかった
ドメイン移管時、必ずWHOISデータベースに登録されているドメイン登録者のメールアドレスに「ドメイン移管の承認」をするかどうかのメールが配信されます。
ドメインに登録されているメールアドレスが有効でない場合、承認メールが届かないため承認できず、結果的に移管が却下されてしまいます。
登録されているメールアドレスが有効なアドレスかどうかを確認しましょう。
WHOISに登録されているメールアドレスを変更するには以下の記事が参考になります。
関連記事承認メールが届かない?ドメイン移管・SSL取得に必要!WHOISメールアドレスの変更方法
ドメイン移管の承認メールは英文で送信される場合もあるので迷惑メールに振り分けられてしまうこともあります。迷惑メールフォルダも確認しましょう。
承認メールを承認しなかった
ドメイン移管の承認には、対応期限があります。
- JPドメイン:承認メール送信から7日以内
- JPドメイン以外:承認メール送信から4日以内
対応期日までに承認作業を行わないとドメイン移管は却下されます。
ホームページを外注したり、サイト管理を外部のWeb制作会社に任せていたりすると、ドメインの管理もその会社で行っている場合があります。
そのような場合は管理している会社へドメイン移管の承認作業をしてもらうよう依頼する必要があります。
【理由6】Whois情報が異なる(JPドメイン)
Whois情報が不完全だと却下されてしまう場合があります。
Whois登録情報を確認して、必要であれば情報変更をしてから移管申請しましょう。
WHOISデータベースとは?WHOISでドメインの登録情報を確認する方法は以下の記事が参考になります。
関連記事WHOIS検索 ドメインの調べ方・見方と出てこない時の対処法
※属性型JPドメインの登録情報変更は有料の場合があります。
Whois情報代理公開を設定している場合は、解除が必要です
【理由7】現在のドメイン管理会社で手続き中のものがある
現在のドメイン管理会社で何か手続きを行っている場合、例えば「Whois情報を変更申請をしていてまだ完了していない」などの場合、ドメイン移管は却下されてしまします。
登録情報などの変更が完了してから移管申請します。
【理由8】認証コード(AuthCode)が間違っている
.comや.netなどJPドメイン以外のドメインは認証コード(AuthCode)と呼ばれる文字列がドメインごとに設定されています。
※2023年11月よりJPドメインのドメイン移管でも認証コード(AuthCode)が必要になりました。
移管の時にオースコードの入力が間違ってしまうと申請却下されてしまうので、コピペする時は注意しましょう。
認証コード(AuthCode)とは?認証コード(AuthCode)を取得する手順は以下の記事が参考になります。
【理由9】ドメイン登録から60日以上経過していない(JPドメイン以外)
ドメインを取得したり移管したりしてから60日経過していないと、ドメイン移管できません。
ちなみに、お名前.comではドメインの登録期間は最大10年となっています。登録年数が9年以上あるドメインは移管申請できないとのことです。
ドメイン移管に失敗しないために、ドメイン移管の注意事項
ドメイン移管を失敗いないためには、事前に登録情報や設定状況を確認しておくことが重要です。
- Whois情報を確認する(特にメールアドレス)
- レジストラロック(移転ロック)を解除する
- 登録期限を確認する(次の更新日時からどのぐらい期間があるか)
- WHOIS情報公開代行を解除する
- 自動更新を解除する
.co.jpドメインを移管する手順を説明している記事も参考にしてください。
関連記事お名前.comからエックスサーバー/ムームードメインへドメイン移管の流れ
ドメイン料金が最安。エックスサーバーへ他社からドメイン移管をする手順も参考になります。