さくらインターネットは日本でまだインターネットが普及しはじめる黎明期からホスティングサービスを提供している老舗、かつ日本最大手の東証プライム上場企業です。
国内最大級のバックボーン回線と耐震性、耐災害に優れたデータセンターを有しているため、個人だけでなく官公庁・企業でも幅広く使われている信頼あるレンタルサーバーです。
2023年、政府のクラウド・AI技術導入、整備の取組みで事業者として認定を受けており(経産省クラウドプログラム)、11月には、日本の行政サービスのデジタル化を進めるための計画(ガバメントクラウド・政府クラウド)では、さくらインターネットの「さくらのクラウド」が採択されて注目が集まっています。
本記事ではさくらインターネットのレンタルサーバー「さくらのレンタルサーバ」の特徴、実際に使用して感じたメリット・デメリットを紹介します。
さくらのレンタルサーバ 料金プラン
プラン | メールボックス | ライト | スタンダード | ビジネス | ビジネスプロ | マネージド |
---|---|---|---|---|---|---|
月額費用 36ヶ月 | 3,168円 88円/月 | 4,356円 121円/月 | 18,000円 500円/月 | 71,280円 1,980円/月 | 138,600円 3,850円/月 | 269,438円〜 7,485円/月〜 |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
ディスク容量 | 20GB | 100GB | 300GB | 600GB | 900GB | 500GB〜 |
マルチドメイン | 20 | 20 | 200 | 400 | 500 | 無制限 |
上位プラン変更 | -- | |||||
データベース | MySQL50 SQLite | MySQL200 SQLite | MySQL400 SQLite | MySQL無制限 SQLite | ||
DB容量 MySQL5.7 | 3GB | 8GB | 12GB | -- | ||
SSH | -- | |||||
コンテンツブースト | -- | |||||
バックアップ&ステージング | -- | |||||
SSL | -- | 無料SSL 独自SSL 持ち込み可 | 無料SSL 独自SSL 持ち込み可 | 無料SSL 独自SSL 持ち込み可 | 無料SSL 独自SSL 持ち込み可 | 無料SSL 独自SSL 持ち込み可 |
WAF | -- | |||||
メールアドレス | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
メーリングリスト | 10 | 10 | 10 | 30 | 50 | 無制限 |
お試し期間 | 2週間 | 2週間 | 2週間 | 2週間 | 2週間 | |
その他 | 独自ドメインが使えるメール専用プラン | DB不可 | 個人・小規模ビジネス向け | 複数人管理 | IPアドレス専有 複数人管理 | 専有プラン |
さくらサーバーの特徴
メリット
- 運用実績が長い老舗レンタルサバー、上場企業、自社データセンターという抜群の信頼性
- 2022年にサーバー刷新、高速化
- 全プランで初期費用が無料
- 電話・メールサポートは全プラン対応※
- WAFが全プラン対応
- CDNが簡単に導入可能
- ステージング環境が簡単に導入可能(スタンダードから)
- 無料SSL(Let's Encrypt)は全プランで可能
- SSLサーバー証明書の持ち込みも可能
デメリット
- MySQL、WordPressが使えるのはスタンダード以上
途中でプラン変更ができない現在は上位プランへ変更可- 電話サポートはコールバック予約しかない→予約が取りずらい
ドメインごとに同じメールアドレスを設定できないできるようになった
さくらのレンタルサーバーはこんな人におすすめ
- 信頼性の高いサーバーを使いたい
- 月額コストは安く抑えたい
- WordPressのアップデート前に検証チェックを手間をかけずにやりたい人
- 簡単にCDNを導入したい人
さくらサーバーを実際に使用して感じたメリット・デメリット
私自身、スタンダード、プレミアムプランの使用経験があり、現在もスタンダードプラン利用中です。
※プレミアムプランは2024年4月1日新規受付終了。
さくらサーバーは中小企業におすすめするレンタルサーバーの一つで、実際にスタンダードプランやビジネスプランを利用してるクライアントさんも多いです。
実際の使用経験を元に感じた点をあげたいと思います。
サーバーコントロールパネルは使いやすくなった?
以前のサーバーコントロールパネルは、古い昔ながらのコントロールパネルという感じでしたが、少し前に刷新されて今時のデザインになりました。
ドメインの設定方法や独自SSLの設定などは直感的に操作できる・・・とは言いづらいけれども、操作性が良くなっています。
バックアップ、ステージング環境が作れるSnapshot
個人的にはWordPressの検証用にステージング環境が手軽に作れるのが最大のメリットと感じます。
- ウェブサイトを丸ごとスナップショットできる(バックアップ)
- スナップショットは8個まで、1個あたりの容量は30GBの大容量(マネージドプランは60GB)
- テスト環境を作って、WordPressの検証ができる
- テストしたコンテンツをそのままリリース可能
Snapshotでのステージング環境構築は以下の記事でくわしくまとめています。
リリースも簡単なので手間が掛からずいいです。
無料SSL・持ち込みも可能なのでサーバー移転前にSSL設定ができる
さくらサーバーでは無料SSLはLet’s Encryptが利用可能です。それ以外にもサイトシールに対応したSSL証明書などをコントロールパネルからインストールできます。
また、自分で購入または用意したSSL証明書も設定が可能です。
Let's Encryptは、ドメインのネームサーバーがさくらになっていないと設定ができない仕様です。
そのため別に取得した無料SSL証明書(Let's Encrypt)を独自SSLとして設定することで、サーバー移転前にSSLを設定することができます。→SSLダウンタイムがなくなる
SSH、WP-CLI、Gitが使える
スタンダードプラン以上ではSSHが利用できます。
サーバー設定時のユーザー・パスワードでSSHログインができる状態で、公開鍵による設定も可能です。
また、WordPressをコマンドラインで操作できるWP-CLIがインストールされた状態なので、すぐに使うことができます。
Gitも入っているのですぐに利用可能です。
小さいことですが、エンジニア・クリエイターには嬉しい機能です。
サイトの高速化・コンテンツブーストCDN
プレミアムプラン以上ならコンテンツブーストCDN導入も魅力です。→ 現在はライトプランから無料で利用できるようになっています。
サイトデータをCDNサーバーへキャッシュしてデータ配信を肩代わりしてくれます。これによりサイトの表示速度の向上や、アクセスが集中した場合でも503エラーにならず安定したサイト運営ができます。
ライト・スタンダードプラン | ビジネス以上 |
---|---|
月100GBまで無料 | 月300GBまで無料 |
ドメインごとのメールアドレスが作れない → 作れるようになった
以前は、複数ドメインを設定していても、ドメインごとにメールアカウントが作れないのが残念なところでした。
例:同じ契約サーバー内でinfo@example1.com
と info@example2.com
というメールアドレスは、メールボックスは同じになってしまう。
これはさくらサーバーの仕様でドメインごとのメールアカウントができるのはビジネスプラン以上の契約が必要でした。
個別ドメイン受信
現在は、「個別ドメイン受信」という機能でドメインごとのアドレスが作成できるようになっています。
ただし、個別ドメイン受信をする設定が必要です。
オンラインストレージとして利用できる「さくらぽけっと」
サーバーの空き容量をストレージとして利用できる「さくらぽけっと」。
写真や動画をアップロードしてオンラインで管理できます。ウェブとは別の非公開領域なので安心。スマホからも専用アプリで利用可能なので、スマホで撮った写真や動画を簡単にアップロードできます。
写真・動画以外にもWordやExcelファイルも対応しているのでビジネス利用にも適しています。
さくらぽけっと
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電話サポートはコールバック予約→予約がとれない
さくらサーバーではコロナ禍以降、電話サポートがコールバック予約型になりました。
電話をもらうのはいいのですが、時間を予約しなくてはならず、その予約がなかなか取れません。
Amazonのコールバックにように10分後ぐらいに連絡がくるぐらいになってほしいものです。
さくらのレンタルサーバは怖い?の真相
2019年にエンジニア向け情報共有サイト「Qiita」に投稿された記事が発端で、「さくらのレンタルサーバー 怖い」というワードが出てくるようになりました。
今はもう記事自体は非公開になってしまったので見ることはできませんが、2017年にさくらの専用サーバーで実際に起きたトラブルだったようです。
さくらインターネットでは以下のようなコメントを出しています。
投稿記事は2017年当時の当社の対応に関する内容で、現在までのお客さまに対するご案内やサポート対応がご期待に十分に沿うものではなかったと真摯に反省し、ご指摘を重く受け止めております。
今後につきましては、記事を書かれたと思われるお客さまと誠実に対話を進めていくとともに、ご安心・ご満足いただけるサービスとサポートを第一に取り組んでまいります。
当社サーバーサービスに関する技術情報共有サイトへの投稿について
まとめ
本記事では、さくらサーバーの価格と特徴、実際の使用経験に基づくメリット・デメリットを紹介しました。
法人利用ならスタンダードプラン以上で
さくらのレンタルーサーバーでは月額128円、年1571円ほどで利用できるライトプランが最安ですが、MySQLデータベースが利用できません。
WordPressを利用する場合はスタンダードプラン以上を契約する必要があります。
WordPress以外でも、バックアップやWebフォント、SSH、Cronなど利用できる機能が増えるのでスタンダードプラン以上がおすすめです。
速度は標準的
2022年に新サーバーが導入されて従来より5倍速くなったとのこと。
以前はもたつく感じもありましたが、現在は普段利用で特に遅いと感じたことはありません。
SSLの持ち込みもできるし、HTTPS化もコントロールパネルからボタン一つで設定できるようになっています。
WP-CLIやGitも事前設定なしで使えるようになっているのも、ありがたいところです。
総じてさくらサーバーは、コスパがよくて使い勝手がいいサーバーと言えるのではないでしょうか。
さくらのレンタルサーバ スタンダードのお申込みはこちら(公式ページ)中小企業・法人向けレンタルサーバーを選ぶならこちらの記事も参考になります。