Webサイト構築・運用コストを抑えたい、学習用のサーバー環境がほしいといったときの選択肢として、無料で使えるレンタルサーバーがあります。
無料レンタルサーバーは、無料で使える反面、機能に制限がある場合が多いです。
本記事では、用途・目的別に無料サーバーを比較しました。
- 初心者でも使いやすいWordPressが使える無料サーバー
- 開発者・LP向けの静的サイト専用の無料サーバー
初心者でも使いやすい、WordPressが使える無料サーバー おすすめ4選
まずはじめに、WordPressなどの動的コンテンツが使える無料サーバーを比較します。
各無料サーバーサービスを以下のような点で比較しました。
- ディスク容量はどのぐらいか
- 広告が表示されるか
- 商用利用がOKか
- 独自ドメインが利用できるか
- WordPressが利用できるか
- 無料独自SSLに対応しているか
- サポートがあるか
サービス | 容量 | 独自ドメイン | SSL | PHP/MySQL | WordPress | メール | サポート | 広告表示 | 商用利用 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シンフリーサーバー | 10GB | 10個 | ユーザーフォーラム | ||||||
StarServer Free フリー PHP+MySQLプラン | 2GB | 1個 | 掲示板 | スマホのみ表示 | |||||
XREA | 10GB | 10個 | チャット | ||||||
Infinity Free | 5GB | コミュニティフォーラム |
シンフリーサーバー
シンフリーサーバーは、無料でありながら高機能なレンタルサーバーです。WordPressが使える無料サーバー「XFREE(エックスフリー)」の後継サービスになります。
完全無料で広告なし、10GBのSSDストレージ、独自SSL、WordPress対応、Nginx採用、1日900GB転送量などを提供。自動バックアップやセキュリティ機能も充実しており、小規模サイトに最適です。
ただし、現在は他社サーバーから移転の場合のみ申し込みを受け付けている状況です。
機能 | 内容 | 機能 | 内容 |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | ディスク容量 | 10GB |
利用期限 | 3ヶ月 3ヶ月ごとに更新手続きが必要 | 利用可能なプログラム | Perl / PHP / Ruby / Python / SSI |
ドメイン | 5個 | PHPバージョン | PHP7,8 |
サブドメイン | 50個 | データベース | MariaDB 10.5.x |
無料独自SSL | データベース数 | 5個/容量500MB | |
メール | WordPress簡単インストール | ||
FTP | SSH | ||
サポート | バックアップ | 14日間 |
XFREEは2025年7月31日でサービス終了になるとリリースされています。XFREEから他社へ移転するなら同じグループ会社のシンフリーサーバー、Xserver Staticsがおすすめです。
シンフリーサーバーの使い方 XFREE,他社からWordPressを移転する方法
StarServer Free
月額138円からの格安サーバーを提供しているスターサーバーの無料サーバープランです。
無料サーバーでも3つのプランがあり、静的コンテンツ向けプラン(フリー/フリー容量増加)とWordPressが使えるPHP/MySQL対応プランがあります。
WordPressは簡単インストール機能があるので簡単に使うことができるのですが、SSLには対応していないのが残念。
またフリープランでは広告は表示なし、フリー容量増加/フリーPHP/MySQLプランではスマホ・タブレットのみ広告が表示されます。
プラン | フリー | フリー 容量増加 | フリー PHP+MySQL |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
ディスク容量 | 2GB | 4GB | 2GB |
商用利用 | |||
広告表示 | 無し | 有り スマホ・タブレットのみ | 有り スマホ・タブレットのみ |
ドメイン | 1個 | 1個 | 1個 |
サブドメイン | 50個 | 50個 | 50個 |
利用可能なプログラム | SSI(※execを除く) | SSI(※execを除く) | PHP / SSI(※execを除く)/ PEAR |
.htaccess | |||
PHP | PHP5,7,8 | ||
MySQL | 1個/ 50MBまで | ||
WordPress | |||
無料独自SSL | |||
FTP | |||
ファイルマネージャー | |||
メール | |||
メール送信制限 | -- | -- | 50通/日 |
XREA
https://www.xrea.com/Value DomainのサーバーブランドXREA の無料サーバープランです。
無料サーバーではメールは使えないことが多いですが、XREAでは送受信数に制限があるもののメールも無料で利用可能です。
独自ドメイン・無料SSLにも対応しており、高機能で非常に自由度が高い無料サーバーですが、PC,スマホでもウェブサイトに広告が表示されます。
機能 | 内容 | 機能 | 内容 |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | ディスク容量 | 10GB Web, メール, DB |
転送量上限 | 5GB / 日 | 利用可能なプログラム | Perl / PHP / Ruby / Python / SSI |
ドメイン | 20個 | PHPバージョン | PHP5.6, 7, 8 |
メール | 最大100アカウント 送受信数1000/ 日 添付ファイル容量2GB | データベース | MySQL 5個 PostgreSQL 5個 SQLite |
Webメール | 無料独自SSL | ||
バックアップ | 15世代 | WordPress簡単インストール | |
FTP | SSH | ||
サポート | メール・チャット | ファイルマネージャー |
Infinity Free
Infinity Freeは、10年以上にわたり完全無料で広告なしのホスティングを提供しています。
5GBのディスク容量と無制限の帯域幅が特徴で、MySQLデータベースやPHPに対応し、柔軟なウェブサイト構築が可能です。無料SSL証明書が付属し、セキュリティも確保。
独自ドメインの追加やFTPアカウントの利用もサポートしており、初心者から上級者まで幅広く対応します。標準のcPanelを採用しており、使いやすいインターフェースでウェブサイトを管理できます。
サブドメインや自動インストーラーも利用可能で、簡単にWordPressなどのCMSをセットアップできます。日本語対応はしておらず、管理画面は、英語のみですが自動翻訳でもなんとか操作できます。
機能 | 内容 | 機能 | 内容 |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | ディスク容量 | 5GB |
帯域制限 | 無制限 | 稼働率 | 99.9% |
サイト数 | 無制限 | PHPバージョン | PHP8.2 |
独自ドメイン | データベース | MySQL 400個 | |
サブドメイン | 無料独自SSL | ||
メール | WordPress簡単インストール | ||
FTP | サイトビルダー | 無料トライアルで5Pまで作成可能 | |
サポート | オンラインマニュアル コミュニティフォーラム | ファイルマネージャー |
完全無料でWordPressを始める方法は以下の記事でも詳しく解説しています。
静的サイト向け無料サーバー おすすめ7選
静的サイトとは、HTML、CSS、JavaScriptなどの静的ファイルで構成されたWebサイトです。WordPressはプログラム(PHP、MySQL)によってコンテンツが生成される動的サイトになります。
静的サイトは動的なバックエンドがないため、コンテンツのロード時間が短く高速表示されるためユーザーエクスペリエンスに優れています。
静的サイト向け無料サーバーは、Gitと連携して簡単にデプロイしたり、静的サイトジェネレーターもサポートしているため、サイト公開が簡単にできます。
シンプルなWebサイトを手軽に運営したい場合や、開発プロセスをモダンにしたい場合に適しています。
サービス | 容量 | 独自ドメイン | SSL | 月間ビルド | 帯域幅制限 | 商用利用 |
---|---|---|---|---|---|---|
Netlify | 500サイト | 300分 | 100GB/月 | |||
Vercel | サイト数 無制限 | 6,000分 | -- | |||
GitHub Pages | 1GB | 10ビルド/1時間 | 100GB/月 | |||
CloudFlare Pages | サイト数 リクエスト数 無制限 | 500 | 無制限 | |||
Kinsta 静的サイトホスティング | 1GBx 100サイト | 600分 | 100GB/月 | |||
Xserver Static | 1GB | CI/CD機能なし | -- | |||
StarServer Free フリープラン | 2GB | 1個 | CI/CD機能なし | -- |
Netlify
Netlifyは2015年よりサービス開始している静的サイトに特化したホスティングサービスで、いち早くCI/CDワークフローを取り入れています。
Gitリポジトリと連携して自動的にデプロイでき、独自ドメイン、無料SSLにも対応しています。無料プランでは100GBの帯域幅と月300分のビルド時間でこれを超えると追加料金が発生します。
無料枠だけでも色々なことができるのですが、CDNキャッシュサーバーが日本にないため、日本からのアクセスは他のサービスよりも遅くなることがあります。
Vercel
VercelはNext.jsの開発元が提供するモダンなWebホスティングサービスです。Next.jsを開発している会社なのでNext.jsとの相性は抜群、その他Gatsby, Jekyllなどの静的サイトジェネレーターにも幅広く対応しています。
無料プランでも無制限のデプロイ、独自ドメインの利用が可能で、SSLにも自動的に対応してくれます。
ただし、無料プランは「Hobby」という名前からもわかるとおり、商用目的では利用できません。
GitHub Pages
https://docs.github.com/ja/pages
GitHub Pagesは、GitHubが提供する静的サイトホスティングサービスで、リポジトリに保存されたHTML、CSS、JavaScriptファイルをかんたんに公開することができます。
個人やプロジェクトのウェブサイト、Jekyll、Hugo、Hexoなど静的サイトジェネレーターで生成したサイトを簡単に公開、GitHub Actionsで静的ページの生成・公開を自動化できます。
無料では、パブリックリポジトリでのみ利用可能で、時間当たり10ビルドという制限があります。また商用目的では利用できません。
Cloudflare Pages
Cloudflare Pagesは、Cloudflareの高速CDNを標準で使用でき、Webサイトコンテンツを世界中のサーバーから高速配信することができます。
GitHubリポジトリとの連携、自動SSL化の他、サイト上の画像を自動で最適化し、ページの読み込み速度を向上させてくれます。
サイト数、リクエスト、帯域幅ば無制限なので、大規模なトラフィックにも対応できます。(独自ドメインは最大100個まで使用可能)
無料プランでも商用利用が可能。
Kinsta 静的サイトホスティング
!https://kinsta.com/jp/static-site-hosting/
KinstaはWordPressのホスティングとして知られていますが、2023年にKinsta静的サイトホスティングがリリースされたサービスです。
- 最大100サイトまでホスト可能
- 月間600分のビルド時間
- 100GBの帯域幅
- Cloudflareのグローバルエッジネットワークを活用しコンテンツを高速配信
- GitHubなどリボジトリと連携し自動デプロイ
- 無料SSLの自動発行
- 独自ドメインも利用可
- Astro、Gatsby、Nuxt、Reactなど、多数の静的サイトジェネレーターをサポート
- ヘッドレスCMSとの連携可
無料でも豊富な機能を利用することができ、個人開発者や企業の小規模プロジェクトに適しています。
Xserver Static
国内シェアNo.1のエックスサーバー が2024年にリリースした静的サイト専用のホスティングサービスです。
- 1GBのオールSSDストレージ
- RAID 10構成、HTTP/2対応の高速サーバー環境
- 独自ドメイン対応・無料SSL証明書
- 転送量無制限
- Apache 2.4.xとNginx
- .htaccessとmod_rewriteが利用可能
- ファイルマネージャー利用可能
CI/CD機能には対応していないため、コンテンツの公開はFTP経由か、オンラインファイルマネージャーでの手動アップロードになります。
エックスサーバーでWordPressなど動的コンテンツを使いたい場合はこちらの記事が参考になります。
エックスサーバー使用歴10年以上の筆者がエックスサーバーを詳しくレビューしています。
StarServer Free
StarServer Freeのフリープランは、静的コンテンツのみ利用可能ですが、広告表示なしでサイトを公開できます。
- 容量は2GB
- 独自ドメイン1個、サブドメイン50個利用可能
独自ドメインを利用可能ですが、独自ドメインSSLには対応していないので商用目的のサイト運営には不向き。学習・練習用サーバーとしての利用に限られるかなという感じです。
まとめ
本記事では、初心者でも使いやすい、WordPressが使える無料サーバー おすすめ4選と静的サイト向け無料サーバー おすすめ7選を紹介しました。
PHPやMySQLを使ったWordPressなどの動的サイトが利用可能な無料サーバーは、FTPを使ったアップロードが基本で、初心者でも使いやすいコントロールパネルが用意されていることが多いです。
技術的な知識が少なくても利用可能なところがメリットと言えるでしょう。
WordPressのようなCMSを使って簡単・無料でサイトを運営したい人、個人ブログやポートフォリオサイトに適しています。
静的サイト向け無料サーバーは、Gitによるワークフローで簡単にデプロイ可能で開発者向けツール、自動ビルド機能が充実しています。
各サービスとも比較的ゆるい制限なので無料プランでも十分に利用できます。
Gitを利用、モダンなウェブ開発に慣れている人、静的サイトジェネレーターを使いたい人に適しています。
商用目的では無料で使えない場合もあるので、利用する時は注意しましょう。